なぜマッチングアプリを始めたのか。
きっかけは、久しぶりにたまたま読んだBL漫画にドはまりしたことだった。
BLの世界は、運命的な出会いや深い愛情が当たり前のように描かれていて、私の好みの物語ばかり。
性描写ですら、そこにちゃんと愛があるから、美しいものだと感じられた。
そんな物語にどっぷり浸かっていたら、思い出した。
今の私は、愛なんてすっからかんだけど、本当は人一倍、愛情に飢えているんだって。
BLの中の恋人たちが、もう、うらやましくて仕方なかった(笑)。
「私も、愛されたいし、愛したい」
そう思ったとき、心の中で眠っていたスイッチがカチリと入った。
そして、行動しよう、と決めた。
正直、どのアプリでもよかった
とはいえ、最初から誰かと会うつもりはなかった。
男性と関わること自体、久しぶりすぎて、まずは“やり取りの仕方”を思い出したかっただけ。
どうせ直接会ったって、ワンナイトで終わっちゃうだろうし、そんなのは望んでいなかった。
だから、正直、どのアプリでもよかった。
それでも少しでも人が多いほうがいいかな、と思って、登録者数が多いアプリを選んだ。
登録したのは夜、ベッドの上でスマホを握りながら。
どきどきしてるのに、ちょっと笑えてくるような、不思議な気持ちだった。
プロフィールは正直に書いた
「どうせ会わないし、嘘をつく必要もないな」って思った。
だから、顔写真も載せなかったし、プロフィールにも
「すぐに会うつもりはありません」「暇つぶしにお話できる人がいいです」って、はっきり書いた。
趣味や好きなものも、取り繕わずにそのまま書いた。
なんなら、最近読んだBL漫画で号泣したことまで書いてしまった(笑)。
「最近BL漫画で泣きました」なんて書いても誰も興味ないだろうと思っていたけど……
それも私だから、隠す理由がなかった。
意外とそんなプロフィールに興味を持ってくれる人もいて、
一定数の人からメッセージをもらえたのが、ちょっと面白くて、嬉しかった。
彼に出会うまでの人たち
始めて1週間くらいで、相手からのいいねでマッチングしたのは10人ほど。
実際にやり取りをしたのは、そのうち3人だった。
最初の二人は、アプリ内でメッセージを数回やり取りしただけで終わった。
なんとなく気が乗らなくて、こちらから返信しなくなった。
3人目の人は少し違って、外部の連絡先を交換して、電話までした。
「電話で話してみない?」と言われたときは、久しぶりに仕事以外の男性と話すと思うと緊張したけれど、思い切って応じてみた。
スマホを握る手が汗ばみ、心臓がバクバクする感覚を味わったのは、久しぶりだった。
彼の声は穏やかで、悪い人ではなかった。
その後も何度か電話をしたけれど、どうしても気持ちは乗らなかった。
「電話もできたし、リハビリには十分だったかな」
そう思って、そろそろアプリをやめようかと考えていた。
最後に、もう一人だけ
そんなとき、新たにいいねの通知がきた。
画面に表示された名前を見て、ふと手が止まった。
それは、外国人の名前だった。
……何を隠そう、外国人の容姿が私には大好物だったのだ(笑)。
「この人で、最後にしよう」
半分、気まぐれのような気持ちで、いいねにいいねの返事をした。
ここから、私の物語が本当に始まった。
心に浮かんだ感想や言葉があれば、こちらからそっと教えてください。